組合って
全教って


かぎりない可能性を秘めて、子どもや青年は
学校に通ってくる。

すべての教職員はこの子らと、心ゆたかに接し
その人間的成長に力をつくしたいと願い、
父母・国民はその実現を学校に期待している。



学校はゆとりと自由が保障され、一人ひとりの子どもを人間として
大切にし、教え学ぶ喜びにみちた場でなければならない。


しかし、いま、憲法・教育基本法の諸原則を根底からくつがえそうとする教育政策のもとで、教育への権力的な支配・統制が強められている。過大な教育内容のおしつけと早期からのふるいわけがもちこまれ、子どもたちのすこやかな成長がはばまれている。

1994年に全日本教職員組合(全教)が発表した「教職員権利憲章」の冒頭より


豊中教職員組合(全教豊中)




はじめに紹介した「教職員権利憲章」は今から28年前に発表されたものです。 まだ、教員免許更新制もありませんでした。全国学力テストもありませんでした。評価制度もありませんでした。 今は、当時よりもさらに、子どもたちを追い詰め、学校を息苦しい場所にしているのではないでしょうか。また、本来、創造的な魅力ある教師の仕事も魅力を感じることができない=「ブラックな仕事」と敬遠されるような状況になっています。

今、『教師の働き方改革』をすすめる動きを表面的には見せています。しかし、これは私たち教職員が願う方向を向いているのでしょうか。国や文科省が考えている方向は、経済界から要請されている“もうけの対象”として教育を進めていくというものです。
正社員の非正規化を主張している竹中平蔵氏(パソナ会長【派遣会社】、オリックス社外取締役、SBIホールディングス社外取締役)が教育についても積極的に発言しています。岸田内閣の政府会議メンバーにも入り発言を強めています。

教職員憲章に書かれている学校。その方向へ、教職員・保護者、そして市民が力を合わせることが必要です。教育の条件整備のためにもっと予算も人もつける必要があります。
35人学級実現は多くの教職員・保護者・市民の声で実現しました。教員免許更新制も教師の働き方の劣悪さが国民にも理解され、教職員多数の反対の声で免許更新制をなくすことができました。
今こそ、みんなで力を合わせて、教育をよりよい方向に転換させていきましょう。

そのために、あなたも組合に! 全教に!

この「組合って 全教って」は、組合員や退職した教職員から手記を集めました。
また、学校現場でも広がるパワハラについて、専門家の弁護士の立場からも原稿を寄せていただきました。


2022年夏




○はじめに――アメリカで広がる労働組合の結成の動き

 Amazon ニューヨークにある物流センターで、物価上昇に対応する賃上げや休憩時間の5分延長などの労働環境改善を訴える従業員が労働組合を結成。(22年4月)
Appleでは、時給30$(約3800円)、学費支援や退職金や休暇制度の改善を要求して組合結成の動き。
Goggleでは本社勤務のソフトウエア技術者が参加する労働組合結成(21年1月)
スターバックス 本部のあるシアトル中心に従業員中心が労働組合の結成。

今、アメリカでは労働組合結成の動きが広がっています。背景に現場労働者の低賃金・重労働の実態があったり、職場内での待遇格差(正規・非正規)があったりするといわれています。
アメリカでのこうした組合結成の動きに対して、会社(Amazon、Apple、Google、スタバ)側は労働組合の結成を嫌い、必要ないという姿勢です。それに抗い人間らしく生きることを求めて、アメリカ労働者が立ち上がっています。

○そもそも労働組合とは?働く者の生活の改善・労働条件の改善
18世紀のイギリスの産業革命がおきました。工場ができ、そこに働く労働者が生まれました。劣悪な賃金や長時間労働、また、幼い子どもにも労働をさせるなど過酷な労働環境下におかれました。働く者が「人間らしい生活」を求めて働く者同士が手をつないで“団結”、労働組合を結成し、ストライキ等の手段で会社に改善要求を訴えました。
 資本主義が進む中で、どの国でも工場・会社で働く労働者が生まれ、労働組合を結成し「人間らしい生活」を求めるようになりました。
日本でも、戦前劣悪な労働環境のもとで労働組合が結成されました。しかし労働組合の存在を認めない政府は、激しい弾圧を加えました。軍国主義政府が終わり、戦後になって、憲法や法律でも労働組合の存在が認められるようになりました。



○先生たちが力を合わせる―教職員組合の結成
 日本は戦前、中国や朝鮮、アジア諸国に対して侵略戦争をすすめました。「大東亜共栄圏建設」をうたい、優れた国民の日本が、悪事をおこなう国々をこらしめると戦争をすすめていきました。教師は、アジア諸国への侵略戦争に、教え子の子どもたちを「お国のために役に立て」「立派な軍人になれ」と教育しました。多くの若者を戦場に送るのに協力しました。
 戦後、教職員組合(日本教職員組合=日教組)が結成されました。教職員の地位は低く、地位向上をめざし、さらに軍国主義の教育でなく民主的な教育をすすめること、平和と自由な民主的な国をつくることを目的にしました。
 戦争の傷跡や記憶がまだまだ残る1950年。朝鮮戦争が始まりました。また、戦争が始まった状況下で教職員組合は「教え子を再び戦場に送らない」と誓いをたてたのはこの時です。
 教職員組合は、生活の改善や労働条件の改善を求めて運動に取り組みました。
  また、核兵器をなくそう、被爆者を支援する原水爆禁止運動にも積極的にかかわってきました。
高度成長期、共働きの家庭が増える中、預ける保育所が少なく、他の女性団体とも協力して『ポストの数ほど保育所を』と保育所づくりの運動もとりくんできました。
戦後、日本国憲法も、こうした歴史の痛苦の反省から、@国民主権、A戦争放棄・平和主義 B基本的人権の尊重という三原則がつくれました。

戦後直後、文部省が発行した中学生用教科書「あたらしい憲法のはなし」より

女性教職員の多い学校現場において、出産・育児にかかわる要求も切実でした。今では、男性も取得ができるようになった育児休業(育休)は1976年に始まりました。
出産・育児にかかわる権利の拡大
○生理休暇 日本独自の休暇。戦前の女性労働者の労働運動から戦後労働基準法に明記。
1960年代のピーク時4人に1人が取得 近年は約1%(雇用均等調査)
○妊娠障害(つわり等)休暇 産休とは別に14日以内(断続的取得も可能)
○産前産後休暇 産前8週、産後8週。 1986年に産後8週に。 多胎妊娠は産前16週。
○妊娠中の女子職員が通勤する場合の特別休暇(通勤緩和措置)
1日60分以内 徒歩通勤も含む。
○通院休暇妊娠週数によって回数が認められる。(男女雇用機会均等法第12条)
○育児休業 子どもが3才まで(男女どちらもどれる)
育児に関して男女ともとれるものに 「育児時間」「育児早出遅出勤務」「育児短時間勤務」「子どもの看護休暇」といったものもあります。

教職員組合は、労働組合であり、勤務・労働条件の改善の取り組みをすすめるとともに教師・教職員の力量を高める学習・研究・研修も大切にしてきました。教研活動とよばれる教育研究活動や自主的な研究活動やサークル活動を応援してきました。


○労働組合の全国中央組織(連合 全労連)が分かれる
1980年代、民間大企業の組合が中心となって労働組合のナショナルセンター(労働組合の全国の中央組織)を一つにまとめようという動きが強まりました。
“労働組合と使用者・会社が協力してやっていくことで会社が成長する。そうすれば、その利益が会社の労働者にも返ってくる”という(「労使協調」路線といわれます)考え方のもと、「連合」(正式名 日本労働組合総連合会)が結成されました。
 ※労働組合が大きく分かれて約30年。バブル後と時期が重なりますが、この間、大企業は利益(内部留保とよばれる内部の蓄えも増やしています)を増やす一方、働く者の賃金は増えず、非正規の不安定雇用がどんどん増加しています。
『沈まぬ太陽』山崎豊子原作
90年代に週刊新潮に連載された山崎豊子による長編小説。本は700万部売り上げ。三浦友和・渡辺謙が出演する映画(2009年)にもなる。会社と対立する労働組合の労組委員長はカラチ・ナイロビなどに左遷される。会社は言いなりの労働組合をてこ入れする。1985年の御巣鷹墜落事故も出てくる作品。



○全教(全日本教職員組合)結成
公務員の労働組合(教職員組合・地方自治体・国家公務員等)も「連合」に加わるのかが問われました。教職員組合の中では、「連合」に加わるべきではないという声が多数ありました。「連合」に参加することは、国や文部省の政策にはっきりと意見を言うことができなくなると、新たな教職員組合をつくりました。それが、全日本教職員組合(略称 全教)です。
また、全教以外にも「連合」には参加しない他の公務員労働組合や民間の労働組合といっしょに全国労働組合総連合(略称 全労連)を結成しました。

 私たち全教豊中(正式 豊中教職員組合)は全教に加盟しています。府下各市町村の教職員組合、支援学校の教職員組合、府立高校の教職員組合とともに大教組(ダイキョウソ)に加わっています。  大阪府に関することは大教組とともに府教委・府当局と交渉・折衝して改善を求めるとともに、府下各市の状況を交流し合っています。
また、全国的な課題については、全教とともに運動をともにおこなっています。
 豊中に関することでは、教職員の願いや声を集めて、豊中市教委と交渉を行い、勤務労働条件の改善を求めています。また、よりよい教育がすすむように

○組合費は何に使われるのか。
組合員は組合費を払います。
組合費は何に使われているのでしょうか?
わたしたちの教職員組合では、ニュースや新聞の発行など印刷をしたり、学習会や講演会の様々な活動をおこなったりしています。こうした活動にも組合費が使われます。
また、組合事務所代や維持の費用もかかります。そして一番、大きな割合を占めているのが、学校を休職して組合の仕事に従事している(組合専従者と呼ばれています)人の給料です。みんなの組合費で出し合っているのです。
こうした組合専従の方が、学校現場を離れて組合の業務に従事をして、大阪府の教育委員会や大阪府当局と交渉や折衝をおこなっています。



組合をとおしてさまざまな教育サークルに参加

 毎日の授業を魅力あるものにしたいと、教育サークルに参加してきました。
算数、社会、理科、体育、生活指導などその時々に興味のあるものに参加したり、授業がうまくいかずに困ったときに相談に出かけたりすることもありました。

○いくつもの発見 国語の研究会「はぐるま研」
  その中でも、一番苦手なのが国語でした。私は小学生の時からずっと国語が苦手でした。
そんな私が、「国語って面白いかも」と思い出したのは、組合の国語の講座に参加した時でした。箕面の「はぐるま研」の鵜沼先生が、参加した先生たちを相手に、「ごんぎつね」の授業をしてくれました。参加者が教材の読み取りを発言していく中で、「そういう風にも読み取れるな。」という発見がいくつもありました。一人で読んだものを、みんなで交流するのは授業そのものです。きっと子どもたちも同じだと思いました。指導書頼みでなく、子どもの発言を聞くのが楽しみになってきました。そのころから、作文の授業も、子どもたちがもっと書きたいという声を出し、読み合い、お互いを知る場にもなってきました。

○教え、学び、研究する時間と自由の大切さ
組合は、教育内容の講座を開いたり、サークルの案内をしたりしています。また、教育を取り巻く様々の課題についても考え、学ぶ場がたくさんあります。教師は教え、学び、研究するための時間と自由が大切です。組合はこのことをとても大切に思っています。



退職後も元気に楽しく!

〇組合活動で友だちも広がる
 退職して10年になります。東豊中小に在職中、「女性部役員に」というお話が来ました。「体育も組合も運動は苦手」な私になぜお誘いがあったのか今でもよくわかりませんが、子どももまだ幼く、迷っていたら全教の仲間のNさんOさんSさんたちが「どんなことでも全面協力するからぜひ!」と背中をおして下さいました。
 その後、ずっと女性部に関わってきました。予想に反して、組合活動は楽しく友だちも広がり、知らなかった知識も増えて、私的にはとてもプラス面が多かったと思っています。
 クラスづくりの悩み、教材の深め方など、アドバイスをもらったり、話し合ったりもしばしばでした。この時の仲間、友だちが退職後の今も大切な心の財産となって、楽しく元気に過ごす源となっています。

〇手労研―民間研究サークルで楽しく
 もう一つの元気の源は、入会45年ほどになる「子どもの遊びと手の労働研究会」(略称:手労研)です。ほとんどの民間教育研究会は退職すると、研究会参加も終わるようですが、手労研は続きます。ここ数年、豊中ではなかなか若い仲間の参加がなく、このままでは手労研が手老研になりかねないと心配です。手労研の仲間も豊かな人間性を持った人たちで、私の大切な心の財産です。この人たちと一緒に、子どもの生活の中でどんな問題があって、どうやって解決していくとよいのか、ものづくりと関わりながら考えあいます。何より子どもへのまなざしがあたたかいです。手労研大阪支部や豊中サークルがあり、退職後の仲間で手労研プラチナ会を作り、モノづくりのための準備や話し合いをします。豊中サークルでは、もう20年続いている手作り味噌「ゆりちゃんちの味噌づくり」が好例です。また、手労研&あらぐさ(新日本婦人の会の班)で「ものづくりの会」「易しい英語を楽しむ会」をつくり、楽しく過ごしています。

〇組合に感謝!
 ちょっと高齢になっても、「今日行くと今日用」(教育と教養→今日行くところと今日の用がある)で元気に楽しく過ごせているのも組合(全教)に入っていたからこそ!と感謝です。



同和問題、部落差別の問題をどう考える

1.はじめに
 冒頭から固い文章になりますが、はじめに「同和問題」の定義をはっきりさせておきます。  1965年8月11日に出された内閣総理大臣宛ての同和対策審議会答申には、『いわゆる同和問題とは,日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに,近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である。』と書かれています。つまり、「同和問題」とは「部落差別の問題」「部落問題」のことです。

2.「部落問題」はどこまで解決したか
 戦後、日本国憲法の成立と民主主義的意識の高まりのもと、1969年から始まった同和対策事業は国地方自治体あわせて15兆円が投入され、高度経済成長とともに地域の状況を一変しました。
 2002年、特別法の失効とともに同和対策事業は終了しました。劣悪な地域の環境は改善され、「部落」と呼ばれた集落の景観もなくなり、周辺地域との分別もできなくなりました。教育や就職・結婚も改善され、居住する人々の入れ替わりも激しく、誰が従来からの居住者か、誰がそうでないかも分からなくなりました。国民の意識も大きく変化し、もはや、日常の暮らしの中に部落問題はありません。
 大阪府教委も「誰が地区の人か、誰も説明できない」「今はもう被差別部落なんてないよという」と説明しています。
 生活困難が集積した地域は特別措置法対象地域の5倍もあることが府の調査で明らかになっています。今日の課題は格差と貧困であり、部落問題はもはや過去の問題です。

3.部落問題の解決とは
 社会や人間関係で、出自を意識しない、そんなこと関係ないわ、という状態になることが部落問題の解決です。まだ誤解や偏見を持つ人がいるにしても、「江戸時代につながる話なんて、そんな昔のことを今更何なの」「何の関係あるの」「そんなことで人をみたらあかんやろ」と周りの人はたしなめます。誤解や偏見は社会として受け入れられることはもうありません。


4.学校が教えるマイナスイメージ
 今日では同和問題を「学校の授業で知った」というのが40代以下では過半数です。その結果、「学習経験を積むほど、『就職差別や結婚差別は将来もなくすことは難しい』という悲観的な意識が広がった」と報告されています(大阪府民意識調査2010年)。
 同和対策事業を終わらせた理由の1つに、行政が特別対策を続ける限り、「あそこは特別」という市民の意識が続くということがあります。学校教育も同じではないでしょうか。「部落問題学習」をする学校では「差別は今もある」というだけで、部落問題は解決に進んできたという希望ある事実を教えていません。

5.憲法と自治の力を子どもたちのものに
 「人は尊重すべきもの」「人は協同して生きるもの」ということを子どもたちが自分で理解していくように工夫しましょう。学校では「部落」や「同和」という言葉を使わないで指導することが大切です。
 よく「将来、部落問題に出会った時のために」教えておかないと、と説明されることがあります。一見、まともに見えますが、逆に言えば、将来、学校では全く扱っていなかった問題に直面した子どもはお手上げになってしまうということでしょうか。いつまでもいつまでも学校で部落問題を教え続けるのでしょうか。「人は尊重すべきもの」「人は協同して生きるもの」という立場で考え行動できる子であれば、さまざまな問題に直面した時に適切に判断できることでしょう。
 大阪府民意識調査(2010年)も「『同和問題は知らない』という人の人権意識が低いわけでもありません。」としています。「人権教育」というなら、憲法と自治の力を子どもたちのものにすることではないでしょうか。

(大阪教育文化センター「部落問題解決と教育」研究会発行
『2分でわかる部落問題と教育(2016年版)』から抜粋)





「支援教育」について

☆支援学級在籍の子どもだけでなく、通常学級にも発達に課題を持つ子どもたちが学んでいます。みなさんは、その子どもの理解や関わり方などを一人で悩んでいませんか。

☆全教豊中教職員組合の組合には、こんないいことがあります。
〇学級にいる「気になる子ども」の理解を障害・発達・生活の視点から深めたり、その子どもへの関わりで大事にしたいことや、学級集団の中での関わり方、周りの子どもたちとの関係づくり、楽しい取り組み・実践などを学びあったり交流したりできます。
〇「発達障害」や「子どもの発達のみちすじ」について学んだり、学級集団づくり・授業づくりを考えあったり、教材の紹介や交流、教材づくりなどができます。

☆組合がこれまで大事にしてきたこと
〇障害の種別や発達の程度に関わらず、すべての子どもたちは自分の持てる力を最大限に発達させる可能性を持っています。
また、個々の子どもにあった学びの権利〔学習権〕と発達の権利〔発達権〕、その子らしく生きる権利がすべての子どもに保障されています。
全教豊中は、豊かな能力と人格の発達を保障することなどの“発達保障”の理念を大事にしてきました。こうした内容は「障害者権利条約」にも謳われています。
〇子どもたちが、通常学級・支援学級・通級指導教室(通常学級在籍児童に限る)、それぞれの場で学びの主人公になって主体的に学べることを大事にしてきました。そして、それぞれの場で学習し交流する ことで、学習や生活の力、人と関わる力、主体的に自分の人生を切り拓いていく力などを育むことを大事にしてきました。

☆みなさんも組合に入って、通常学級にいる発達に課題を持つ子どもも安心して楽しく過ごせるような学級づくりの実践や、支援学級や通級指導教室での取り組みや教材づくりを学びあい交流しましょう。また、実践の悩みや子どものことを語り合いましょう。



平和憲法を力に

○多くの犠牲を生み出したアジア・太平洋での戦争
 大日本帝国憲法(1890年施行)下で、日本は戦争に次ぐ戦争を行ってきました。特に、1931年の満州事変に端を発した15年にも及ぶ戦争では、310万以上の日本人が亡くなり、アジア・太平洋諸国で2000万人以上の犠牲者を出しました。教師は「お国のために、天皇陛下のために命を捧げよ」という教育を行い、教え子を戦場に送ったのです。
 日本国憲法下(1947年施行)では、日本の戦争によって亡くなった人はいません。憲法第9条で戦争を放棄しているからです。私たちの仕事は、子どもたちをこの国の主権者に育て、子どもたちにすべての国の人が平和で幸せに生きられる社会にしていくことを語ることではないでしょうか。まだ十分に実現していない憲法の理想を、実現させていくことは、私たちの責務です。

○自由および権利は、国民の不断の努力で保持
 教職員組合は、先の戦争に加担した悔恨から「教え子を再び戦場に送らない」というスローガンを掲げています。平和を守るためには、平和を脅かす動きに反対しなければなりません。また、基本的人権・思想・信条・表現・学問の自由を守ることが不可欠です。第12条には、「自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。」とあります。
 けれども、一人で考えたり、行動を起こしたりすることには限界があります。仲間と一緒に学習したり行動することで、自分の考えが広がったり深まったりします。
組合は、問題を大局的に見て、組合員に伝えてくれます。一人ひとりは微力だけれど、無力ではありません。是非、組合に入ってともに成長していきましょう。



「あなたも仲間の輪に!」

*豊中教組養護教員部って?
私たち養護教員は、学校内では少数職種です。仕事内容も命や健康に係る仕事のため、他の先生方にはなかなか分かってもらえない、養護教員ならではの悩みも出てきます。そんなとき、支えあうのが豊中教組養護教員部です。他校の養護教員と繋がりが持ちにくい状況の中、『決してひとりぼっちにはしない』が私たちの基本です。

組合って政治的な活動ばかりされていると思われがちですが、全然そんなことはありません。まずは「子どもを真ん中に」をモットーに教育条件を充実させたり、ひとりの養護教員として、ひとりの人間として、生き生きと健康で働き続けられるよう、労働条件について市に要望したりという活動です。先輩方がそのような活動を続けてきてくれたから、今、自身の生活も大切にしながら働き続けることができています。
また、豊中教組養護教員部では長年、心臓検診二次検診の復活を要望してきました。家庭の事情で未受検のまま放置されている児童・生徒をなくし、子どもたちのいのちを守りたい。私たち養護教員の精神的負担(管理指導表の督促や何かあったらどうしよう?)を減らしたい。その甲斐もあり、要望とは形が違いますが、受診の際の補助金が出るようになり、未受検者は少し減ってきたように感じます。
他にも、保健室やプールから外線電話を使用できるようにしてもらったり、宿泊行事の付き添い看護師を実現させたりしてきました。
ぜひ一緒に、励ましあい、学びあい、豊中の学校保健の充実と養護教員の願いを実現させていきましょう。 *こんな活動をしています。
☆年に数回部会を持ち、学校の様子、疑問や困っていることなど情報交換します。
 (各々の事情も大切にしながら、無理なく部会を開催しています。)
☆健康診断についての意見を市教委に届けます。(懇談会)
☆職務全般についての悩みや願いを市教委に届け、話し合います。(対市交渉)
☆様々な教研が開催されているので、参加し、自己研鑽しています。



臨時教職員の権利の保障について

豊中では、たくさんの臨時教職員の方々が活躍されています。
臨時教職員の方々がいらっしゃらなければ、今の教育現場は成り立ちません。
 しかし、正規教員と同じ勤務内容であるにも関わらず、待遇については理不尽と思われるようなことがまだまだ多くあります。
 大教組(大阪教職員組合)には臨時教職員部があります。臨時教職員の要求をつかみ、毎年、大阪府教委に待遇改善を求めてきました。近年、待遇改善が大きく進んできています。

○講師の待遇改善が大きくすすむ
例えば、期限付講師の一年をこえて引き続く任用の場合は、1日以上の期間を空けていましたが、大教組の粘り強い交渉により、2019年度末からの「空白の1日」は解消されました。そのことにより、年休が19日から20日へ、次年度、常勤で任用される場合、夏期一時金が100%支給される等、賃金・待遇改善がなされるようになりました。
また、2022年度4月より、産前・産後休暇が無給から有給に改善、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇、出生サポート(不妊治療)休暇の新設等、大教組の要求が実現されています。
産前・産後休暇取得時の代替者の配置等、更なる待遇改善を要求していきます。

○臨時教職員の方々を応援!
組合では、大阪府レベルで教員採用試験学習会(めざとも)を毎年開催しています。面接で大事にしなければならないこと等、学ぶことがたくさんあります。試験当日、自信を持って臨むことができるように、バックアップしています。

○講師経験を生かした採用を! 豊能地区人事協議会に申し入れ
毎年、学級担任として全力でとりくみ、採用選考試験の勉強する時間も十分にとれない講師の方々。採用選考において、臨時教職員経験が十分に考慮するよう、池田市や箕面市、豊能郡の教職員組合といっしょに、豊能地区人事協議会に申し入れをおこなっています。
大教組の力を揺るぎなく大きくしていくことが大切です。是非、大教組に加入していただき、ご一緒に頑張っていきましょう。



何故、組合が分かれたのか?

そもそも労働組合は労働者が一致する要求に基づいて要求実現に向けて団結して雇い主である会社や政府や自治体と闘う組織です。ですから、
(1)資本や権力からの独立 
(2)政党からの独立 
(3)一致する要求に基づく行動の統一
  という三つの原則(これを「統一三原則」と言います。)を堅持する必要があります。
何故なら、(1)については、資本や権力言いなりで要求が実現するのか? (2)については、特定の思想・信条(「綱領」とも言います)を持った人達が集まった政党の言いなりで、労働者は団結できるのか? (3)については、結局、一致する要求に基づいて、皆で団結して要求実現に向けて力を合わすことが一番大事ではないのか? という事です。

○労働組合がいくつか分かれているのはなぜ?
なぜ組合が分かれてしまったのでしょうか? その主な理由は次の三つです。
?現在の「連合」が出来た1989年以前に、民間の労働組合が先行する形で統一推進会(電機労連・全日通・ゼンセン同盟・鉄鋼労連・電力労連・自動車総連の六つの民間の大きな労働組合の代表者で構成)の会合が持たれ(1980年9月30日〜1981年5月1日)「民間先行による労働戦線統一の基本構想」を発表。この「基本構想」がそれまで、政府・財界が推し進めてきた「行政改革」等の反動的な政策を支持し、これに協力する「労資」一体化の姿勢に貫かれていた事。
A ?の「基本構想」発表後に明らかになった「統一推進会」の議事録の中で「現行憲法が不磨の大典ではない」「行政改革をどんどん進めていけば(官公労分野は)変わるかもしれない」(中村卓彦鉄鋼労連委員長)「階級闘争の労働運動とは、われわれは別だ」「共産党と協力することは、はっきりやめるべきだと思う」(宇佐美忠信ゼンセン同盟会長)「『平和憲法』という言葉が気になります。」「賃金が一番はじめに書かれているウェイトがおかれすぎている」(塩路一郎自動車総連会長)と憲法改悪、官公労(=日教組や自治労などの公務員関係の労働組合)の変質、労資協調主義、反共主義などがあけすけに語られていた事。
B ?やAが上記の統一三原則に真っ向から反しているにも関わらず、多くの組合員の批判の声を強引に排除し、当時の日教組は戦後「教え子を再び戦場に送るな!」という輝かしいスローガンを掲げて闘ってきた積極的伝統をかなぐり捨てて、「連合」加盟を決定したこと。
 以上のような経過をたどって組合が分かれて現在にいたっています。
今、平和や、くらし・生活、教育のあり方について、国民の願いや声が届かない政治が続いています。様々なちがいは横において、一致する要求で共同し、運動をすすめていくことが大切な時代になっているといえます。



――パワハラとは何か

○法律による規定
公務員・民間企業を問わず、上司のパワハラによって被害を受けたと言う訴えは、以前からありました。しかし、法律上明確にパワハラとは何かと規定されたのは、比較的に新しく、2019年6月の労働施策推進法改正による第30条の2によります。同法によるとパワハラには、@職場における優越的な関係を背景として A業務の必要かつ相当な範囲を超えて B精神的・身体的苦痛を与えるまたは労働者の職場環境を悪化させる行為という3つの要素があるとパワハラとなるとしています。

○パワハラに関する指針
この規定でも抽象的で業務上の指導とどうちがうのかなかなか難しいところです。そこで、法律に基づく厚生労働省の2020年1月指針があり、もう少しイメージしやすい6類型をあげています。それによると○ア身体的な攻撃 ○イ精神的な攻撃 ○ウ人間関係からの切り離し ○エ過大な要求 ○オ過小な要求 ○カ個の侵害となっています。○ア〜○エはまだわかりやすいのですが、○オの過小な要求とは、「あなたに任せる仕事はない。」とか「1日中掃除をさせる。」ような行為であり、○カの個の侵害とは、「プライベートな内容に立ち入る。」とか、「退勤後の予定を提出させたり、無理に聞き出したりする。」というようなことです。これらが上司・先輩からされた場合や、同僚・部下でも業務上必要な知識経験を有している者からの行為である場合にはパワハラとなります。

○パワハラ事件の例
裁判で争われたパワハラ事件では、「お前なんか死んでしまえばいい。」「やめればいい。」と言われた新人社員が自殺した例や、暴力行為や業務上のミスをとらえて200万円の借用書を書かせていた例、「新入社員以下だ。」と叱責されてうつになった例があり、加害社員と企業に対する損害賠償が認められています。
学校に関する事例では、小学校で指導困難なクラスをもっていた担任教諭が、直接の責任のない児童の事故被害について、校長から保護者に謝るように強要され、うつがひどくなったという例がありました。この例ではうつによる休職が公務上災害と認められています。

○パワハラの解決
パワハラ被害について、被害者から裁判に訴えることもありますが、裁判所は明白なパワハラ以外は、不法行為であるという認定や結果との因果関係をなかなか認めませんので、長期に困難な訴訟を抱えることになります。また、休職に至った場合には、労災(公務上災害)の申請をしますが、先の小学校の事例では、地方公務員災害補償基金が一旦公務外という認定をしたので、教諭から裁判に訴えてやっと認定を勝ち取っています。このように裁判的な救済は最後の手段であり、日常の職場からパワハラをなくし、重大な被害にならないようにする組合の取り組みが重要です。組合としては、組合員にかぎらず、相談窓口を開いて訴えを聞き、現場管理職または市教委との交渉でパワハラを告発し、やめさせる活動が必要です。